まいたけ見聞録

脳菌なので世の中のことはよくわかりません

特定の音(咀嚼音など)にうんざりするなら脳を責めろ!

他人がクチャクチャと咀嚼しながら食事をしていると、その音にイライラを感じる人は多いのではないでしょうか?コーヒーをズズッとすするようにして飲んだり、リンゴをかじる音はときに不快感を感じさせます。

はたまた一方で咀嚼音や呼吸音に対してそれほど不快感を感じない人もいます。

 

咀嚼音や呼吸音など特定の生活音に対して怒りや不安など負の感情を経験させるような症状はミソフォニアmisophoniaと呼ばれています。

 

このミソフォニアが起こる原因はいまだよくわかっていないようです。

 

ミソフォニアの症状を持つグループと持たないグループでMRIによる脳スキャンを行った結果、感情にとって中立的な雨の音や、一般に迷惑な赤ちゃんの泣き声ではどちらのグループでも差が見られませんでしたが、咀嚼音を聞かせたところ症状を持つグループでは島皮質の前部で活性化が見られました。

 

島皮質は痛みの体験や喜怒哀楽や不快感、恐怖などの基礎的な感情の体験に重要な役割を持つことが分かっています。

さらに心拍数の増加と皮膚の伝導性の上昇も確認されています。これは野外で野生の動物と遭遇した場合や、人前で話すときの反応と同様のものです。

また脳の構造にも違いがみられるようで、島皮質とそこからつながる偏桃体や海馬へのつながりが強くなっており、反応を高めるような感情の処理に一役買っているようです。

一般に不快に感じる音を聞くと偏桃体が活発に活動しているようです。

 

ただ、なぜ特定の音がトリガーサウンドとなって反応を高めて不快感を示すようになるのか、そのメカニズムは謎に包まれています。

 

 

こうしてみてみると音の聞こえ方はつくづく不思議なものだと思い知らされますね。

おそらくまだヒトがありふれた動物の一種類でしかなかった時代から鳥のさえずりや波の音などを美しい心地よいものだと感じていたのかもしれません。またその一方で天敵だったヒョウなどが草の茂みをかき分けるような音などに不安を感じて警戒していたのかもしれません。そう考えてみると肉食動物が発する咀嚼音がヒトに不安を与え、そのなごりが今も残っていると考えることもできるのかもしれませんが実際にはどうなんでしょう。