まいたけ見聞録

脳菌なので世の中のことはよくわかりません

柑橘類の遺伝的な系統が明らかに。より優れたミカン品種が改良されるかも?

 

 

柑橘類はインドあるいはアジアが原産とされ、現在は世界中で育てられています。中国では2009年に雲南省で700万年前の葉の化石が見つかっています。

日本あるいは世界で最もよく食べられる果実類で、温州ミカン、グレープフルーツ、ゆず、ベルガモットなど野生種も含めて数千種が知られています。しかし現在市場で流通しているものは数十種に限られ、そのほとんどはシトロン、ザボンブンタン)、マンダリンのいずれかを祖先種としていると考えられています。これらの3種は互いに交配することができ、変異が起こりやすいという珍しい特徴を持っています。これらの柑橘類の遺伝子は自然交雑や品種改良によって何度も混ざり合わさりながら新しい種がつぎつぎに生み出されてきました。

 

しかし、どのようにもともとの野生種から品種改良が行われてきたのかは明らかになっていませんでした。

 

今回京大の研究グループなどにより、15種類の柑橘類の遺伝子情報を持つ全ゲノムが解読され明らかになり、60品種の柑橘類について何が掛け合わされてできたのかその親子関係が明らかにされました。

DNAの解析に当たって、品種の親子関係を調べるために新しく開発された精度の高いDNAマーカーを用いています。

DNAマーカーは生物個体が固有に持っている目印(マーカー)となるDNA配列のことを指します。子供が親が固有に持っているマーカーを受け継ぐ性質を利用して親子鑑定などに用いられています。

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(明らかになった柑橘類の親子関係

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2016/161201_1.htmlより

 

上の図を見ると紀州ミカンが多くの日本で育てられる品種の親になっていることが分かります。

例えば紀州ミカンからクネンボという品種が作られ、クネンボと紀州ミカンが再度掛け合わされることで温州ミカンが作られたようです。

今後

今回の結果から数少ない品種から様々な品種が作られてきたことが明らかになりました。今後は、見つかった親同士をもう一度掛け合わせることで、現在の品種を超えるものが作られるかもしれません。あるいは今まで注目されてこなかった未利用の品種とその交配組合せの可能性を示すことで、長い時間がかかる新しい品種の開発がハイスピードで進んでいくかもしれません。これまでにも種がなかったり皮がむきやすい、甘い品種がどんどん生み出されているため、今後これまでにない新しい品種のものが登場するのではないでしょうか。