まいたけ見聞録

脳菌なので世の中のことはよくわかりません

ウマの進化は進化論の常識を覆す?

5000万年前にヒラコテリウムという現在のウマの祖先が誕生してからというもの、多様な環境やその環境の変化に合わせてウマはその姿を"進化の爆発"によって新しいウマへと進化させてきました。

この”進化の爆発”によるウマの歯や体のサイズの変化が、これまでの科学者たちが考えていたほど大きくなかったのではないかという報告が、スペインとアルゼンチンの生物学者のチームによって2月10日にScienceに発表されました。

このグループは過去1800万年140種のウマ(現在は7種しかいない)を分析し、進化がどのように起こったのかを示すその系統樹を、化石などに関するこれまでの研究をもとにまとめました。

短期間に進化が進む際には新しい形質(特徴)が伴う場合が多いとされます。

これまでの理論では、約1800万年前に草原が広がると、ウマは草地に適応するために急速に進化が起こり、さまざまな特徴を持った多様なウマが誕生したとされ、たくさんの草を食べるのに特化した歯を開発し、たいして栄養のない草を消化する手段を生み出してきたと考えられています。

しかし、この進化に応じて歯や体の大きさに急激な変化が生じたかというと、どうやらそうではないようです。。Cantalapiedraらによると、このときに新しく進化したウマの新種は生態学的に非常に類似していることが示されました。

したがって、この進化は環境の変化によるものではなくむしろ同じような環境にいたウマがいくつかの地域で孤立化し、それぞれの地域のウマが体の大きさや歯の形状を大きく変えることなく新しい種のウマになることでおこったと考えられます。

体の大きさや歯の形状ももちろん環境に応じて変化しますが、たくさんの新しい種類のウマが急速に誕生したからと言ってその変化のスピードも速くなるとは限らないといえるようです。

急速な新種の誕生が起こったのは1,500万〜1,800万年前の北アメリカのと、1,100万あるいは450万年前に海面が下がって北アメリカからユーラシア大陸に拡散したときとされていますが、どちらでも急激な外見の変化は見られなかったようです。

 

これまでみてきたようにウマの進化の原動力となったのは環境の変化ではないことが示されました。ウマの急速な種分化が起こった時期には広い均質的な草原が広がっており、エサは十分にありました。そのため進化にあたって急速に体のつくりを作り変える必要はなかったということです。

このシナリオがウマ以外に当てはまるかはいまだよくわからないため、これからの研究がまたれるところです。