まいたけ見聞録

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古代の名残をもつ珍しいエビスザメ、舞鶴沖で網にかかる

京都府舞鶴市の沖でエビスザメが発見されたそうです。

日本近海で確認されるのはかなり珍しいサメのようなので、特徴などをまとめてみました。

 

あまり聞きなれないサメですが、実は世界中の温帯の海に生息しており、ふつうサメが左右5対持つえらを7対も持っているかなり珍しいサメです。7対持っているのは世界でもエビスザメとエドアブラザメの2種(ともにカグラザメ科)しかこれまでに報告されていません。

英語ではBroadnose sevengill shark(ブロードノーズ・セブンギル・シャーク)と呼ばれています。ちなみにエドアブラザメは単にセブンギルノー

今回確認されたエビスザメはサメの中でも原始的な特徴を持つサメとされ、日本近海で発見されるのはかなり珍しいことのようです。

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以下記事を引用しています。

京都府舞鶴市沖の日本海でこのほど、原始的なサメの一種、エビスザメ(体長1.2メートル)の雄1匹が見つかった。温帯の浅い海域に生息していることが多く、日本近海で確認されるのは珍しいという。

 京都大舞鶴水産実験所(同市長浜)によると、多くのサメ類が背びれが2枚、えら穴が5対あるのに対し、エビスザメは1枚、7対と古代のサメに近い特徴を持っている。海流に乗って南方からやって来たとみられ、過去20年間で報告があった日本海での捕獲は2004年の山口県と15年の宮津市の計2匹だけという。

珍客エビスザメ、京都・舞鶴沖で発見 : 京都新聞

 原始的な特徴を持つ

そもそもサメやエイなどの軟骨しか持たない軟骨魚類が登場したのは魚の中でも最も古く、4億年ほど前の古生代デボン紀に誕生したとされています。他の魚はほとんどが硬骨魚類でサメとは別のグループに属しています。

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上の図からもわかるようにサメの祖先はあごを持たない無顎類の仲間から進化したとされています。現生の無顎類としてヌタウナギヤツメウナギが知られています。

近鉄腕DASHの番組内で絶滅危惧種のスナヤツメというヤツメウナギの仲間が発見されたことが話題になっていました。

このヤツメウナギは体の左右に目のように見える鰓孔(えらあな)を7対もっており、合わせて8対の目を持っているように見えることからヤツメの名がついています。このえらが進化の過程で次第に失われ、現生のほとんどのサメは5対、硬骨魚類ではえら蓋のなかに4対のえらが残っています。

今回発見されたエビスザメは7対のえらを持つことから、無顎類の名残を持つサメの中でも原始的な特徴をそなえた種類のなかまであるといえるようです。

ちなみにえらを一対失って6対持つようなサメの仲間も数種類発見されているようです。