初めて火星の岩石を回収できるかもしれない3つの地点とは?サンプルリターンはいつになるのか?
2020年に火星探査機を打ち上げる計画を立てているNASAは、火星岩石を採取するための地点の候補を8個のうち3個までに絞りました。
今回の計画ではあくまで試料を掘削して回収することが目的で、いまだ具体的な計画は立てられていませんが最終的には地球へ送る火星サンプルリターンを行うことが期待されています。
これまでにも地球上で火星由来の隕石は100個以上発見されていますが、大気圏に突っ込んだ隕石は熱や衝突などによる様々な変成作用を受けてしまっています。
またすでに火星で探査を行っているいくつかの探査機がありますが、搭載されている観測機器も簡易なものに限られます。
そのため現在の火星環境やその形成過程を調べるためにはやはり地球にサンプルを持ち帰って詳細に調べる必要があります。
なぜ火星探査が重要か?
火星探査が盛んにおこなわれる目的として
- 水や、生命を生み出すような有機物の探索
- 惑星の形成メカニズムをある程度絞り込む
- 将来の有人探査に向けた火星の利用可能な資源などの調査
などがあげられます。
こういったことを調べるために火星上の変成岩、火成岩、堆積岩、レゴリス、大気などのサンプルをそれぞれ調べていく必要があります。
3つの地点
今回NASAはサンプルを回収するかもしれない3つの地点を選びました。
その3つについて紹介します。
1.ジェゼロクレーター
火星にあるクレーターですが、以前は水が豊富にたまっていた古代湖で、火星に生命がいたとするとその痕跡がそのまま残っているかもしれないと考えられています。別のクレーターも候補に挙がっていましたが、そちらのほうが高温の太陽光にさらされるとされ、探査機に負担がかかりにくいとされています
2.コロンビアヒルズ
かつて温泉が存在したと考えられており、石灰岩が残っていたりかつての溶岩流の跡など様々な地質学的な特徴を持っています。これまでNASAの火星探査機スピリットが2004年に火星に着陸してから2011年に運用が終了するまでこのコロンビアヒルズで探査がおこなわれています。
3.北東シルチス
シルチス大地と呼ばれる玄武岩質の黒く見える平原がありますが、その地下に大規模なマグマだまりがあったとされています。北東のシルチスでは熱水が循環していたために生命をはぐくむことのできる環境が存在していたと考えられています。
NASAが回収したサンプルをどのようにして地球に送り返すのか、次の計画はまだ具体的には決まっていませんが、すでに月や彗星、小惑星イトカワからのサンプルリターンが行われていることもあるので、現時点でも技術的に実現不可能とはいえないでしょう。近い将来に火星サンプルリターンが行われるのではないでしょうか?
これからの火星探査
火星サンプルリターン計画を立てているのはNASAだけでなくESA(欧州宇宙機関)やロシア、中国も計画を立てています。
また、日本のJAXAでも火星の衛星からサンプルを回収する計画を進めています
火星にはフォボスとダイモスの2つの周回衛星があります。この衛星がどのようにして形成されたのか、その過程ははっきりとわかっていません。このいずれかの衛星に向けて2022年に衛星を打ち上げる予定で、成功すれば現在フォボスからのサンプルリターンを2024年に計画中のロシアに先んじて世界初となる見通しです。
衛星由来のサンプルを調べることで火星の衛星の形成過程が明らかになると、もしかするといまだはっきりとした説明がなされていない地球と月の形成過程についても新しいことが分かるかもしれません。
また、現在JAXAはイトカワからサンプルを持ち帰った小惑星探査機はやぶさの後継となるはやぶさ2を小惑星リュウグウにむけて飛ばしています。
今後新たにどのような発見があるか注視していきたいですね。